muenyの夢絵日記

観た夢を絵日記ふうに。

数学のテスト

 

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 教室の、前の方の席にわたしは掛けた。周りを見回すが、知った顔など1つもない。
「コホン……」軽く咳払いがした。プラズマ理論で有名な、某教授が教壇に立っている。「では、これからテストを行うからね。数学のテストだよ。はいはいはい、机の上にはエンピツと消しゴムだけ置くように。あとは、みんなしまうこと」

 わたしは内心、かなり動揺していた。テストだって? しかも、数学とだなんて! 予習どころか、テストの範囲さえもわからない。
 そもそも、学校と名がつく場所はすべて卒業したはずではなかったか。それとも、今までのことはみんな勘違いで、まだ学生をやっているのだったっけ?

 教授は、1人1人に用紙を配りはじめた。裏返しのままなので、問題が見えない。ますます不安になってきた。
「はいはいはい、テスト用紙は裏のままにしておいてね。見ちゃダメだよ」
 生徒の1人が、「はいっ」と言って手を挙げた。
「何かね、小林君」教授が彼を指すと、
「テストの時間が50分を超過した場合、残業手当は付くんでしょうか。それと、香り付き消しゴムはおやつに入りますか?」そう真顔で尋ねた。

「超過時間は15分までしか認められていないよ。それに、残業代は30分単位で計算されるから、今回はあきらめて欲しいな。あ、香り付き消しゴムの件だけど、バナナの香りに限っておやつと認めるよ」
 教授は、これまた大まじめに答えるのだった。
 わたしはそのやりとりがおかしくてたまらず、思わずくすりと漏らしてしまう。教授の耳はそれを聞き逃さなかった。
「君、何がそんなにおかしいのかね。テストは真剣に取り組んでもらわんと困るなあ」そう注意されてしまう。

 テストが始まる。
 わたしは、用紙を表に返した。

〔第1問 彼女が当時使っていた日焼け止めのブランドは何か?〕
 
 うーん、難しい。もともと数学は苦手だったが、これほどまでに難しいとは。そもそも、彼女っていったい誰のことだろう。まさか、教授のか?
 この欄は空白のまま残し、次の問題に取り組む。

〔第2問 船に乗っている人物がいる。1人は紫式部にそっくりだが、あとの3人は誰に似ているか答えよ〕

 参考図としてイラストが載っていたが、どれも棒人間だった。どれが紫式部だというのか。そして、ほかの棒人間が誰にそっくりだというのだろう……。
 またしても途方に暮れ、次の問題に進む。
 
〔第3問 次の人物の容量を記入せよ〕

 これもイラスト問題だ。男なのか女なのか、それすらもはっきりしない人物が描かれていて、しかも体重ではなく、容量を書け、というのだ。
 容量というのは体積のことだろうか、それとも記憶容量のことなのだろうか。まず、そのことで頭を抱えた。

 突如、チャイムの音が鳴り響く。
 しまった、テスト時間が終了してしまった!
「はいはいはい、時間が来たので、用紙は後ろから集めてね」教授が声を掛けた。
 わたしは落胆して席を立つ。教室を出て廊下をとぼとぼと歩きながら、他の生徒たちの弾んだ声を聞くとはなしに聞いていた。
「今日の数学のテスト、簡単だったな。満点、間違いないぜ」
「おうっ、ラクショー、ラクショー。5分で全問、解けちまったぜ」
 わたしは心の中で、なぜだっ?! と叫ばずにはいられなかった。

 校舎を出ると、太陽の光がまぶしく降り注いでいた。